怪談『迷い家』

観相師ふかマンです。
皆さん、こんばんは(^o^)/

本日あげる約束してました
怖い話、2弾目です。

次なる話。

これは、私の母親郷里での話です。

生母は福島県伊達郡で生まれ育ちました。
近くには福島の名物、あかべこがいたという沼もあります。

毎年、そういう田舎に帰省するのが心から楽しみでした。

裏の山には虫がたくさんいるので、いつも虫取りに山へ入っていったりしてました。

いつもは、裏の山だけで虫が結構取れたのですが。
その年に限っては、なかなか取れません。

「おっかしいなぁ?」
何くそ、意地でも取ってやる!と、虫を探し求めてドンドン裏山の奥まで行ってしまいました。

気づいたら、山の奥の更に奥の方まで行ってしまってました。

もうここら辺は左右の道も分からない。
「うわ、やべぇ…」

流石に危険を感じて、人里の方に戻ろうとしかけたところ。

薪をくべる煙の匂いがしてきました。

「こんなところに人がいるのかな?」

その正体を確かめたくなって、煙のする先を眺めてみたら

なんと、人家があります。

「こんなところに?」

そう。
とても古い藁葺き屋根が木立の陰から出てきたのです。

ただ…その家。
初めから不自然な感じでした。

その家にたどり着くには
けして小さくない家の割りに、“獣道”とも知れないような細い道しかなかったのです。

「大きな荷物とかどうしてるんだろうなぁ…?」

はてさて…小学生の脳みそで
あれこれ考えながら、その家に行きました。

「こんにちはぁ!」
「どなたしら、いませんかぁ!」

その家の土間前で
大声で呼ばわってみたものの、何の反応もかえってきません…

うっすら暗い屋奥に
ちろちろ…

囲炉裏の灯火がみえます。

美味しそうな鍋も匂ってくる…

湿めっと暑いのに、そういうのも気にならないような旨味が伝わってきます。

「あがりまぁす!」

土間から板の間にあがりこんで
足を進めます。

鍋へ向かって…ふらりと

そう。
気づけばまとまったご飯食べたの、朝ごはん。

それから、昼に握りを二個食べた。

それからはただ、ひたすら虫を追いかけてここまできた。

囲炉裏には美味しそうな鍋と
それをよそおうお椀や箸もありました。

「どうしよう」
食べちゃおうかな…子供なんだし、「迷い込んだ」と言えば許してくれるかな。

色々躊躇いながら
「もっと、何かしらこの家の情報が欲しい」
と、辺りを見回しました。

盗み食い、するのは簡単なのだけど。

何故か躊躇ってしまうのです。

あっ!
不自然な理由のひとつを見つけました。

この家。
林に埋もれるように建ってる、薄暗い家なのに電灯の1つもないのです。

それだけじゃない。

プラスチックやそういうものが全くないのです。
ペンキで塗った鉄物すらも…

そう。

博物館のようなところです。

でも、博物館には途絶えてしまっている
“生活の匂い”だけはしっかりしてます。

簡素な仏壇に、何やら細長い帳が積んでありました。

そこに書かれてる“みみずののたうち回った”ような文字の中から、辛うじて読める文字がありました。

「天保…年」

如何に小学生の頭でも
「天保」なんでのは、和暦の名前だというのは分かります。

少なくとも、明治時代よりも昔だ。 

それも、脆そうな紙も全然色褪せてない…。

危険だ!

本能的にそう思いました。

「この家を出なくでは!」

その瞬間、身体中に悪寒が走りました。

と、同時に

家の中にいるのが息苦しくなってきました。
いや、それだけではなく。

気配が私を包み込もうとしてるような感じでした。

弾けるように囲炉裏の間から板の間へ。
板の間から土間へ。

土間から庭へ!

今でも忘れられないのは

土間の板戸を出ようとしたとき

その板戸の周りを黒い影が走り込んで
風呂敷でものをおおうように

私を覆い被さってきた感じでした。

と。
もう1つ、ここに書かなきゃ。

出ようとした、その土間に

1枚の黄金色のものが落ちてたんですね。
キラキラ✴としてましたよ。

あれって、多分“小判”とか
そんな類いのものじゃないですかね。

いや、私は小判だと思ってます。今でも…

拾いに戻ろう、とも思いましたが。

それよりも。
土間の板戸を塞ごうとする勢いの闇の影が恐かったです。

ただ、「出る!」という気持ちで一心不乱に駆け出ました。

あとは細い道をただ、ひたすら駆けてかけて
今度こそは本当の人家まで、たどり着きました。

そこまできた時にはもう真っ暗。

肌をさらした腕も足も、森のなかを駆けている途中。
木の小枝や草葉っぱで切った傷がたくさんでした。

そこの人家の方に、実家まで車で送ってもらいました。

実家では「警察に捜索を頼もう」としてる時だったそうです。

心配かけて!と、親から強くひっぱたかれました。

そして、どうして遅くなったかの顛末を周りの大人たちに話しました。

虫を追いかけて山の奥の奥まで行ってしまったこと。

そこに電気も通わない藁葺き屋根の家があったこと。

家中の黒い影に包まれそうになって、脱出したこと。

…そして。

家に入るときの土間になかった、黄金色の石みたいなのもが出ていくときに落ちてたこと。

子供のごろの私は疲れきってるのも忘れて、その日にあった事を有らん限りの事を話しました。

疑わしげに私を眺める周りの大人たちの中をかき分けて出てきた、年寄りの方たちが「ワシは信じるよ」と言ってくれました。

永いことなかったんだがなあ。と、ぽつりぽつり話してくれました。

この辺には昭和の初め頃まで、山にはいっていった人が行方不明になったりしていたそうです。
それも何の痕跡も見つからないまま…

でも、明治のごろ
方向不明と思われていた人が見つかった事があるそうです。

その人からの言い伝えと、私の話が一致してる。のだそうです。

山の奥の奥に人家。

美味しそうな鍋物につられて、囲炉裏の間まであがりこんでしまったこと。

でも食べなかった。
家のものには何一つ手をつけなかった事。

急に怖くなって逃げたしたとき。土間に小判が落っこちてて、拾いたがったがそのまま逃げてきたこと。

次の日。
大人の人たちをその家があったと思うところまで案内しました。

その時は意外と、その場所までたどり着けました。

だけど。
何にもなく。

森の中に原っぱがあって、お地蔵さんだけがそこにありました。

最後に、年寄りの方からこう言われました。
「小判、取らなくてよかったな」

もし取ってたらどうなったのですが?
と、私は聞き返しました。

「その闇が出口を塞ぐ方が早く
お前は帰ってこれなかっただろうなあ」

「良かったな」
と、頭をポンポン撫でられました。

アクセス

住所:東京都三鷹市上連雀3-9-9
電話番号:0422-24-6526

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